国宝 大崎八幡宮
> 35号

八幡さま便り

■35号

鳩の声

 今年の夏は今まで以上に暑さも厳しかったのですが、あの猛暑を忘れさせるかのように一気に冷え込み、当宮でもお正月の準備に向け進んでおります。
 最近テレビや雑誌などでもよく取り上げられている【パワースポット】。一体パワースポットとは何なのでしょうか。
 もし、この世界に「願いを叶えてくれ、日々幸せに暮らせ、幸運を手に入れられる場所」が存在してくれたら…と多くの人は思っているのではないでしょうか。パワースポットとは、そんな不思議な力を秘め、生命力に満ちた場所のことを言います。古来、その力に気づいた先人たちに聖地として守られてきた場所も多く、また、時代の流れや人々の活動によって、新たにパワースポットとして定められた場所もあります。最近では癒しと幸運を求めてパワースポット巡りもブームのようです。
 パワースポットは中国で発祥している風水で言う「気」と同じようなエネルギーと考えていいと思います。これは地球上のあらゆる物の中を流れている波動のことであり、エネルギーや気は、大地、動物、物などすべての物の中にあります。
 パワースポットの地を訪れて得られる具体的な効果としては、生命エネルギーの強化・病気に対する防御力、回復力の向上・肉体、精神の浄化・マイナスエネルギーの除去、浄化・癒し、リラックス、運気アップ・滞在能力、霊性の開発などがあげられています。
 そして次第に世間の目は神社仏閣にまで及びました。神社仏閣を「スピリチュアル・サンクチュアリ」などと称して、これらを訪れればパワーが得られると宣伝したスピリチュアル・カウンセラーの江原啓之さんの影響もありましたが、一般的に神社やお寺などには宇宙に存在する波動と同調する役割があり、宇宙のエネルギーを取り込む構造になっていると言われています。神社仏閣がパワースポットである理由として、古代人がパワースポットを自然に見出してそこに神社を建てたからであるという主張もあります。また、パワースポットは20年ごとに気の流れが変わり場所も変動するが、神社仏閣は気を長期間留める特殊な力があるとも言われています。パワースポットとみなされるのは神社が圧倒的に多く仏閣は少なく、仏閣は人々の悩みや悲しみが集まるためパワーが劣るそうです。また、繁華街などもパワースポットであり、パワーに惹かれて人が集まった結果であると言われています。
 そして、大崎八幡宮もパワースポットの一つとして取り上げられており、エネルギーを得るために参拝に来られている方も少なくありません。
 大切なのは「感謝の心」なのです。マイナスの波長を生み出さずに、楽しく幸せな感謝の心で満ち溢れたプラスの波長をたくさん出しましょう。パワースポットを訪れることは、自分で簡単に出来て、もっとも効果的で安全な開運法です。
 小鳩たちもプラスの波長を毎日たくさん出して、皆様の心ある参拝を笑顔でお待ちしております。


八幡宮Q&A

Q:お正月時に頒布している、「破魔矢」や「鏑矢」、「熊手」がありますが、それぞれの由来や意味を教えてください。

A:当宮では、お正月期間中、破魔矢と鏑矢、熊手を頒布しております。
破魔矢は名前の通り魔を破り、厄を祓うという意味を持っています。「破魔」は元々、悪魔や煩悩を打ち破る意味の仏教語で、丸太を輪切りにしたものか、あるいはわらを丸く編んだ的のことをさしていました。破魔を宙に投げて弓矢で射落とし、その結果で一年を占う「破魔打ち」という正月の行事がありました。この「破魔」を射るための矢が「破魔矢」、弓が「破魔弓」です。 この競技が形式化されて正月の縁起物となり、男の子の成長を祈願して弓矢を組み合わせたものを贈る風習が江戸時代に生まれました。ちなみに女の子のいる家には羽子板が贈られました。弓矢を贈る風習は、のちに男の子の初節句の贈り物とされ、細長い板に破魔矢と破魔弓を飾りつけ、その下に戦人形(いくさにんぎょう)などの押し絵を貼ったものが作られるようになりました。
 鏑矢の特徴としては破魔矢よりも大きい為、「大きな破魔矢」と勘違いされている方が多いですが、意味は破魔矢とはまったく違います。
 鏑矢は元々戦国時代の時に戦闘の合図に用いられたもので、特徴としては「音」がでます。戦国時代、互いの大将が名乗りをあげた後、空に向かって戦闘の合図として鏑矢が放たれるのです。この為、「戦闘で一番最初に放たれる矢」ということで鏑矢は「一番矢」という意味があります。新入生や新築や引越しなどその年から新たなスタートを踏み出す方には鏑矢は最適な縁起物と言えます。
 熊手は「わしの爪の鷲づかみ」が由来となっています。それは、鷲が獲物をしっかりと捕らえることになぞらえて、「運を鷲づかみする」と言われるように、鷲の四本ツメのうち三本を熊手の手に、一本を柄とした三本ツメの熊手が後に五本ツメになり、「運をかっこむ」熊手守りになったと言われます。
 金銀財宝を詰め込んだ熊手で、運を「かっ込む」、福を「はき込む」といって開運招福・商売繁盛を願った、江戸っ子らしい洒落の利いた縁起ものです。本来は穀物をかき寄せるもの(熊手)が、穀霊を人間の霊魂と一体化して考え、霊をかき寄せ人間の再生をもたらし幸運を得るという意味もあります。
 前年の破魔矢や鏑矢、熊手等の縁起物も新しいものをいただく前に、お守りと一緒に近くの神社にお納めして、お焚き上げをしていただくとよいでしょう。

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