58号 「七夕について」

八幡さま便り表紙

七夕は棚機(たなばた)とも書き、織姫(琴座のベガ)と牽牛(鷲座のアルタイル)の二星の伝説から生まれた、中国の乞巧奠(きっこうてん、又はきこうでん)という、女子が機織りをはじめ手芸が巧みになることを願う祭りが、奈良時代よりも前に我が国に伝わりました。これに家々に祖先の霊を迎えるという風習(仏教と結びついて七月の「盆」の行事となった)や、6月末の夏越しの大祓いの神事、更に稲の開花という稲作の大事な時期での豊作の祈願などの日本の古くからの信仰・習俗とが7月7日という時期に重なり合い、乞巧奠という行事と結び付き「七夕祭り」となったとされています。

我が国への乞巧奠の伝来以来、「七夕祭り」は宮廷や武家に限られて長く伝えられてきましたが、江戸時代になって寺子屋教育の普及とともに庶民に伝わり、女子は手芸の上達を願い、男子は手習いの上達を願う信仰が生まれて、七夕祭りは全国に広まりました。

仙台において七夕は初代仙台藩主伊達政宗公により始められ、第6代仙台藩主伊達宗村公の時代により盛んに行われるようになったと伝えられています。昔から七夕祭のことを「タナバタさん」と言い、陰暦7月6日の宵に行われておりましたが、明治になってから陽暦7月6日の宵に行うようになり、更に近年は8月6日から8日までの3日間行うように変わりました。

笹に短冊などの七夕飾りを鈴なりにつけることは、秋田竿灯祭りなどと同様に、頭を垂れて稔る稲穂に竹飾りを見立てて豊作を祈ることに由来するものだそうです。その仙台七夕祭りには、7種の飾り物がありそれぞれに次のような意味があります。

1、色紙短冊 歌や願い事を書いて書道の上達を願う
2、紙の着物 身代わりとして病気災害を除き裁縫や手芸の上達を願う
3、折り鶴  家族の長寿を祈る。昔は最年長者の年の数だけ折った
4、巾着   富貴繁栄を祈り作られた
5、投網   豊漁や豊作を祈り感謝の気持ちを表した
6、吹き流し 織り糸をたらした形を表し、機織りの上達を願った
7、屑籠   清潔と節約の心がけを養う。以上7つの飾り物を神かけて作りその屑を粗末にせぬ様この中に入れてつるす

※七夕線香
やがて来るお盆の祖霊を迎える準備。昔は実際に線香に火をつけたが、現在は危険なので飾り付けをしていない

当宮における七夕は、平成2(1990)年仙台空港にソウル便・グアム便が就航し東北初の国際空港になったことを記念し、平成4(1992)年7月18日に日本航空株式会社から当宮に七夕短冊の奉納があり、七夕祈願短冊成就祭を斎行したことに由来します。現在では、7月1日から8月8日まで境内に当宮仕女手作りの七夕飾りと南部鉄器の風鈴を飾り、ご参拝の皆様に仙台七夕祭の雰囲気と涼を感じていただけるよう準備しております。また、8月8日にご参拝の皆様や日本全国からお送りいただいた短冊を御神前にお供えし、牽牛織姫の二つ星が願いごとを成就してくれますようにと七夕祈願祭が斎行されます。

Q 大祓神事に毎年参列している者です。神事の中で神主さんや私たち参列者が行う所作の意味について教えてください。

A 大祓の神事は神職による大祓詞宣読により進められていきますが、前半の「八針に取り裂きて」の部分で神職が麻を裂く所作を行います。

これは、祓の道具である「大麻」を作る過程、もしくは麻を精製して供物とする過程を表したものです。所作の由来としては『「祓つ物」の「麻」「木綿(ゆふ)」(いずれも繊維状のもの)が「麻布」「木綿(もめん)布」に変化し、大祓詞の「八針」との関連で、新たに布を裂く行事が加わったと考えられております。』※『現代人のための祝詞-大祓詞の読み方‐115頁』(著者 岡田荘司 阪本是丸 / 監修 大島敏史 中村幸弘 / 刊行 右文書院 平成12年4月)

続いて後半部分の「舳解き放ち艫とき放ちて」にて参列者全員にて麻縄をとき肩越しに投げる所作を行います。

こちらは前述の通り罪穢れが消滅する様々な例えの一つを模したものであり、前後部分を含め意訳しますと「参列者全員が協力し、船首(右なえ)と船尾(左なえ)の縄を解いて船を用いて海に罪穢れを放つ」所作となります。海はどんなに悪天候でも決して濁ることが無いことから、古代の人々は海に大きな浄化作用があったと考えていたようです。

大祓詞宣読の後、人形に罪穢れを託すために身体を撫でて大麻塩湯で祓い、神事の結びとして「茅の輪くぐり」を行います。その由来については、「備後国風土記」の「蘇民将来説話」によるものです。当宮ホームページに詳細を記載しておりますので、そちらも併せてご参照ください。

参列者の神事への積極的な参加は、神様との時間と空間の「共有」を意味し、より大きな加護を得られると古来より考えられてきました。地鎮祭での「鍬入れ」等はそれに基づくものです。

本年も早半年が経過しようとしています。1年の前半を無事に過ごせたことに感謝するとともに、半年間の罪や穢れをお祓いし、残り半年も清らかな気持ちで過ごせるよう6月30日に大祓神事を斎行致します。当日の祭典参列は自由ですので、ぜひ足を運んでみてください。ご参列が難しい方には郵送にて申し込みいただけます。その際には当宮までお問い合わせください。