宮城県文化財所有者連絡協議会総会並びに春季研修会が開催されました

平成29年7月18日

7月18日、宮城県内の文化財所有者有志で構成される団体「宮城県文化財所有者連絡協議会(宮文連)」の平成29年度総会春季研修会が宮城県白石市鎌先温泉「湯主一條」を会場に開催されました。

本会では毎年春と秋に研修会を行っており、今回の会場は白石市の鎌先温泉「一條旅館」。本館は県内最大の木造建築として平成28年(2016年)3月に国の登録有形文化財に指定されました。

20代目当主の一條一平様よりご説明を頂きながら見学し、東日本大震災時には窓ガラスが一枚も割れなかったというお話を聞いた際には参加者一同驚いておりました。

その後は白石蔵王森林組合 参事 高橋真人様より「大崎八幡宮文化財の杜 10年の歩み」についてのご講義を頂き、植林地に移動して木々の成長を肌で感じました。

木造本館

湯主一條のホームページより

木造本館は湯主一條の建物群の中で鎌先温泉街一番手前に位置しており、桁行12間(22.14m)、梁間5.7間(13.32m)の地上3階、一部地下1階の木造4階建て、入母屋造、鉄板平葺きである。小屋はトラス形式の非常に規模の大きな木造建造物である。傾斜地に建つため、地下1階部分は建物全体の北側1/3程度で、それ以外の部分は高さ2.5mの白御影石の切石積となっている。建物の下にはコンクリートで護岸された水路があり、背面の山からの水が流れるようになっている。

外装は、各階に回された庇は銅板平葺き、軒は1軒、化粧垂木は2間を9割するように配されている。外壁は北・東・南面のほぼ全面が木製建具であり、外側に高欄が回されている。壁は欄間上部の一部に白漆喰壁、最下層部分は板壁である。隣接する棟からの延焼のおそれがある部分は昭和50年代に一部モルタル下地のリシン吹付仕上げとした。

平面は外周部4面に回廊、西面に8帖4間と6畳1間、東面に6畳4間と4.5帖1間が横並びとなり、各々1間の床の間と飾り棚を背にして配置されている。各階を結ぶ階段は北・南の回廊沿いに配される。1~3階はいずれも同様の平面形状である。内部仕上げは、2~4階の回廊は板床、各部屋は畳敷、壁は回廊部は薄墨の漆喰壁、部屋は白漆喰塗。天井は回廊部・部屋ともに棹縁天井、床の間は吹き寄せ天井である。地下1階は内部で2室に分かれており、北側を床屋、南側をマッサージ屋として使用していた。北側居室は西側通路に面して土間がついた6畳間があり、障子を隔てて奥に6畳間、その奥にコンクリート擁壁との間に納戸がある。南側居室は北側同様に西側通路に面して土間があり、幅半間の通路があり障子を隔てて北側に8畳間、東側に4畳半が続く。その奥にある板戸を介して納戸に通じる。内部仕上げは床は畳敷き、壁は白漆喰塗、天井は棹縁天井である。

木造本館は昭和12年の集中豪雨に伴い建物が大きく壊れたことにより昭和15年に着手、上棟、翌16年に完成している。その工事は前述の塩谷正吉氏の父親藤吉氏が請け負った。木材は一條家が所有する山から切り出した100年生の杉を使用し製材から手がけた。伐採・製材開始から落成まで約2年半の年月を要した。大工は塩谷棟梁の直轄大工のほか、気仙地方の大工にも手伝いを頼んだという。塩谷氏所有の昭和15年の上棟時の写真、昭和16年6月の落成時の写真に数多くの大工職人と思われる人々が映っている。上棟時のそれには「白石鳶組合」の幟がたつ。落成時写真の裏書には棟梁名、副棟梁名。その他職人の名前がある。左官工事は白石市の奥山工務店であった。

昭和30年まで前面は通路は石段であったため、建築材料を運ぶのもすべて人力で行った。建前時には人足の数は300人にもなり、1週間ほど続いたという。また、当時は統制の時代で、釘・金物の入手には困難を極めたため、継手や仕口には金物を使用せずに木を組み上げ、また柱も主要柱61本中33本を33尺長さの通し柱とするという木工事を行った。屋根も入手可能なセメント瓦で葺きあげた。

改修履歴は、戦後に屋根を鉄板平葺きとしたこと、延焼のおそれのある部分の外壁仕上げを改修したこと以外、大きな変更は行っていない。東日本大震災時にも、木造本館は一部の外周部の木製建具が外れたのみで被害は全くなかった。

このように、木造本館は規模の大きさ、創建当時の姿を維持していること、また湯主一條のみならず鎌先温泉街の顔としての圧倒的な外観意匠は、国土の歴史的景観に寄与し、また再現することが容易でないものとして重要であると考える。

平成26年12月26日作成
【調査・所見記入】株式会社伝統建築研究所 代表取締役 高橋直子
【調査監修・助言】神奈川大学名誉教授 西和夫

総会の様子
白石蔵王森林組合 高橋様の講義
「大崎八幡宮文化財の杜」植林地の見学
今回の資料

大崎八幡宮美装化事業が行われています

大崎八幡宮美装化事業である「剥落止め」工事が、5月上旬より行われています。

社殿内に施された彩色部分の剝落の進行を防ぐ為、膠(にかわ)を注入・または塗布する作業を「剥落止め」といいます。

この作業は、平成16年に行われた大崎八幡宮保存修理工事にも行われましたが、先の東日本大震災や経年による損傷の為、御鎮座410年奉祝祭記念事業として計画されました。


大崎八幡宮の社殿内彩色は、410年前の創建当時の遺構そのままです。

私たちは、長い歴史の中で育まれ、守られてきた貴重な国民的財産(国宝)である御社殿を、次世代・次々世代へと繋ぎ伝えるべく、先を見据え今できる最善策を講じています。

今回の「剥落止め」という工事は、彩色の塗替えなどと違い目立たず、目を見張るような華やかな工事ではありません。しかしながら、伊達政宗公創建400年以上歴史を今に伝える、守り続ける大切な事業の一つです。


当宮では大崎八幡宮護持の為、皆様からの御奉賛をお願いしております。

御鎮座四百壱拾年記念事業 御奉賛のお願い

木肌に塗られた彩色は、部分的に浮き上がり・剥がれ落ちています アルコールを掛け、膠の吸収を促します
膠を含んだ小筆で剥落箇所の淵をなぞり、部材に膠を含ませます 彩色が浮き上がっている場所には、注射器で膠を直接注入します

(祭儀課 小野目)

御社殿前の鈴の補修を行いました

仙台七夕・夏の観光シーズンを控え、大崎八幡宮各社にある鈴の補修を行いました。

永年、多くの参拝者により振り鳴らされてきた拝殿前の鈴が、ご奉納頂いたものである事にお気付きでしたか?

この度、御鎮座410の記念事業の一環として、補修された鈴が取り付けられました。

装いも新たになった金色に輝く鈴の音色は神々しく、参拝される皆様のご多幸をお祈りしているようです。


拝殿中央の鈴の一つは、今から80年以上前の昭和11年奉納の銘が打ってあります。

往時、拝殿の鈴は、職人の技の限りを尽くし奉製されました。

現在、鈴を奉製した職人のお弟子さんにより手を加えられ、鈴はご奉納当時の輝きを取り戻しました。


来る9月には鈴の緒も新しく奉製し、9月15日から始まる大崎八幡宮御鎮座410年記念奉祝祭を賑々しく執り行うよう、職員一同勤めてまいります。

「槌(つち)目(め)」が美しく施された鈴の表面は磨かれ、鏡のように反射しています
(つちめ:頭部が円柱形の木づちで叩き出された文様)
こちらは45年前の昭和47年奉納の鈴 割れてしまった口の部分は、特別な「銀」を使い補修されました
鈴の輝きや音色を感じてください。皆様のご参拝お待ちしております。

(祭儀課 小野目)

7月初めの月首祭が斎行されました

平成29年7月1日

7月は、文月(ふみつき、ふづき)とも称されますが、これは稲の穂が膨らんでくる「穂含月(ほふみつき)」という説があります。稲穂が力を蓄えるこの季節、何かを始めようと考えている人は、その為の力を蓄える月として良いかもしれませんね。

この度の月首祭は、石垣出仕の初の祭典奉仕となりました。初めての祭典奉仕を終えた石垣出仕の感想をご紹介いたします。

石垣出仕による前導 宮司の玉串拝礼と一緒に座後列拝をします
祭典奉仕を終えた石垣出仕

石垣仁孝出仕の祭典奉仕を終えての感想

この度初めて月首祭を奉仕させていただきました。神職としては二年目ではありますが、大きなお宮での奉仕は初めてで、今までにない重圧を感じました。
 祭典開始前は不安ばかりが募り、祭典中は緊張の連続。終了後は反省と後悔で終始汗が止まりませんでした。
 この貴重な経験を次に活かせるよう、宮司をはじめ先輩方の丁寧な御指導のもと努力を重ねてまいりたい所存です。

また、月参りのご案内をいたします。

当宮では、毎月1日と15日にそれぞれ月首祭(1日)・月次祭(15日)を斎行しております。月々に大神様の御加護がありますよう、祭典にてお祓いした御幣束を、月参りのお印として授与しております。

月毎に、四季の移り変わりを植物の色で表した御幣束をそれぞれ授与しております。今月は、藤を表した色目の御幣束となっています。

祭典ご参列をご希望の方は、御社殿右手にございます受付(祭儀棟)にてお声がけください。

今月の御幣束

(祭儀課 石井日加吏)

七夕祈願祭の受付が始まりました

7月に入り、七夕祈願祭の受付をしております。境内では、長床に七夕飾りを飾るなど七夕一色になっています。

社殿前に、笹竹を舗設し、そちらに願い事を書いた短冊を結べるようになっております。その際に、1000円以上の初穂料をお納め頂いた方には、8月8日の七夕祈願祭を執り行った後、御札を送付しております。初穂袋に氏名、ご住所をご記入の上、御社殿右手の受付(祭儀棟)までお持ちください。

また、今年は当宮の象徴とも言える唐破風の鶴の金細工にちなみ「願い鶴」を用意してございます。これは、予め紐を通してある金色の紙に願い事を書き、「鶴を折って」頂き、笹竹に結んで頂きます。こちらは、平日のみのご用意となります。

「短冊」も「願い鶴」も御社殿の前にご用意しております。

是非また当宮へいらしてください。

社殿前の笹竹(脚立も用意していますので、結ぶ際にお使いください。)
長床に仙台の伝統的な七夕飾りを飾っています 「願い鶴」折り方がわからない方は職員へお声がけください

尚、笹竹に結ばれました願い事は、8月8日に執り行われる七夕祈願祭にて御神前にお供えをしております。皆さまも是非、八幡様の御神前で「お願い事」をなさっては如何でしょうか。

(祭儀課 石井日加吏)