家相の源は、古代中国に発祥し、わが国には七世紀頃に百済の僧侶によって伝えられたという。その後大宝律令、延喜式などによって陰陽博士が設けられ、加茂家、土御門家、幸徳家などの諸家が天文、暦とともに家相、地相学を世襲的に承け継いだ。現在では家相地相について様々な意見があるが、詳しく調べたい時は専門家に相談するとよい。
然しながら、完全に家相の良い家を建てることは先ず不可能に近く、又、凶相であるとして建て替ることも容易でない。このような場合、家の良し悪しを忘れてしまうのが一番よいが、それもむづかしい時は、神事を執り行って貰い安泰を祈念するのも一つの方法であろう。
神道では、祓い清めることによって、罪穢れが消え去り、凶が吉に変わるとされており、春祈祷などで家中のお祓いをするのもそのためです。又、いくら良い家相であっても、昔の人は、不浄や乱雑であれば、吉が凶に変わるといっている。

家相吉凶図

家相の吉方

北が高く、南に次第に低い地形は陽気を受け、水はけが良く吉、また東より南に開けているのも吉。西の高いのも吉、東南が高く西北が低いのは、永い眼で見て、あまり吉相とはいえない。家屋は敷地の中央よりも、やや西北寄りに建てるのがよく、西に道路があるのを大吉とする。

門、玄関

門は東南、西北に構えると子孫が繁栄する。玄関も東南、西北が大吉、東、南も吉。ただし、門の真正面を避けるのがよい。

トイレ

東北、西南と東西南北の正位を避ける。トイレの北向き、北窓も凶とされる。

納屋

乾、巽は戌、辰を除き、亥、巳に構えるはよい。坤、艮は凶。

倉庫

坤、艮は大凶。西、乾、巽は大吉。南方、西方も吉。北は壬によせ、東は乙によせれば差支えない。

池水

雨水、井水、使い水が坤、艮の二方へ流れ出るのは凶。北、南に流れるのは大凶。乾、巽、東、西へ流れるのは差支えがない。

井戸

甲方、乙方を大吉とし、男子は出世する。庚、辛、壬、癸、巳、亥を吉とする。坤、艮の方位は大凶で、南は重病にかかる。

浴室

東西南北の正位や艮、坤の方位は凶。但し、甲、乙、庚、壬、癸、巳、亥の方位は差支えがない。

梯子段

家の中央を忌む。坤、艮の方位も凶方であるが、襖や障子で隠せば差支えない。但し、旅館や料理店では特殊な判断によるところがある。

いろり、こたつ

家の中央、西北、西、東北、西南も凶とされる。

牛馬小屋

巳、亥、甲、乙、庚、辛の方位は吉で、痩馬肥馬となる。艮、坤の方にあれば家人、牛馬に障りが多い。

大黒柱、棟木

大黒柱に穴があったりきずのあるのは凶。家屋の棟木は長い一本のもので通るのを吉とし、きずのあるものは 凶。中途で接ぎ木したものはその家人に病災がある。長屋建では一家毎に棟木を用いるのがよい。

逆木柱

柱を逆さに立てて本末を顛倒するのは大凶。

床の間

北より南を向くのが大吉とし、西より東を向くのも吉、西北から東南に向くのも吉である。

注意:上記は古くから行われている家相の説の一端であるが、諸般の事情の変わっている今日では、検討を要するのも少なくない。実際に当っては、根拠や由来を考慮し、慎重に取扱うことが望ましい。